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2023年4月の労働関係法改正

今年4月の法改正は、なんと言っても月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ(労働基準法の改正)です。賃金に関する他の法改正と合わせて、以下にご紹介いたします。

 

■■■割増賃金率の引き上げ(中小企業)
これは2008(平成20)年に行われた労働基準法改正によるものです。大企業は2010年4月から適用されていましたが、中小企業においてはその適用が猶予されていました。2023年4月1日からは中小企業を含めて全ての企業が対象となるものです。

※中小企業に該当するかは、①または②を満たすかどうかで企業単位で判断されます。

業種

①資本金の額または出資金の総額 ②常時使用する労働者数

小売業

5,000万円以下

50人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

上記以外のその他の業種 3億円以下

300人以下

 

□□50%以上の率で計算する時間外労働時間
月60時間を超える法定時間外労働に対しては、50%以上(50%に限られてはいません。)の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。これは、あくまでも法定労働時間(1週40時間、1日8時間)を超える労働に対するものです。
休日労働に関して、法定休日労働(毎週1回、4週間に4日。割増率35%以上)は、この60時間のカウントに含めませんが、法定外休日(例えば土曜日や祝日)の労働時間はこのカウントに含める必要があります。
なお、60時間超の労働時間が深夜(22時~翌5時)に行われた場合は、50%に深夜の25%を加え75%以上の率で計算した割増賃金を支払うことになります。

□□代替休暇
50%以上の率で計算する割増賃金に代わって、労働者の健康を確保するために年次有給休暇以外の有給の休暇を付与することができます。この制度を運用するには、当該割増賃金に代わって代替休暇を与える旨を労使協定により定める必要があります。

□代替休暇の取得単位と取得期限
割増賃金に代わって代替休暇を付与する目的が、「労働者の健康を確保するため」すなわち「休息を与えリフレッシュさせる」ですから、取得させる単位は1日もしくは半日となります。
半日単位付与の場合、年次有給休暇と同様に1日の所定労働時間の1/2を単位として付与する場合と、例えば午前に3時間30分・午後に4時間30分と午前午後に分けて付与することも可能です。なお、後者の場合は労使協定にその旨を定める必要があります。
代替休暇は長時間労働により心身ともに疲労しているであろう労働者に休息を与えるものですから、時間外労働が60時間を超えた月の賃金(勤怠)締切日の翌日から2か月以内に与えなければなりません。

□代替休暇を付与することができる部分
代替休暇を付与できるのは、60時間を超えた割増率50%となる部分ですが、通常の割増率25%の部分は休暇に代えることはできません。すなわち、60時間超の時間外労働時間の25%について代替休暇を与えることができるわけです。

□代替休暇の算定
では、割増賃金額を代替休暇の時間に換算するにはどのようにしたら良いでしょうか。以下の計算式により算定いたします。
※([月の法定時間外労働時間]-[60時間])×[換算率]=代替休暇の付与可能時間数
※ [割増賃金で支払う場合の率]-[代替休暇付与した場合の割増率]=換算率

例えば、80時間の法定時間外労働をした者の場合は、以下の通りとなります。なお、60時間超割増率は50%とします。
「1.50 – 1.25 = 0.25(換算率)」 「(80 – 60)×0.25 = 5時間(代替休暇時間)」

なお、1日もしく半日単位で代替休暇を付与した場合における端数の時間については、割増賃金を支払う方法と特別休暇など他の有給の休暇と合わせて取得させる方法がありますが、実務的には前者で対応することのほうが容易であると考えます。

■■■給与のデジタル支払い
実務的には、労働者の指定する金融機関口座への振り込みにより賃金を支払っているケースが多いとは思いますが、労働基準法上は「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を」支払わなければなりません。スマートフォン等によるキャッシュレス決済が普及する昨今、2023年4月からは一定の要件を満たした場合に厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座への賃金支払が可能となります。具体的には、スマホの決済アプリ等の個人アカウントに対して給与を送金するイメージです。

一定の要件の一部を以下に紹介しますと以下の通りです。
〇決済アプリ等のアカウントに給与支払を行う場合には、労働者が銀行口座等への給与支払も併せて選択できるようにするとともに、当該労働者に対して給与のデジタル払いについて必要な事項を説明したうえで、同意を得なければならないこと。
〇資金移動業者の口座残高上限額を100万円以下に設定すること。
〇口座への資金移動に係る額の受取について、現金自動支払機を利用する方法やその他の通貨による受け取りができる方法により1円単位で当該受取ができるための措置を講ずること。
〇少なくとも毎月1回は当該方法に係る手数料その他の費用を負担することなく当該受け取りができるための措置を講じていること。

コンビニや商店で、「支払いは**Payで」という言葉をよく耳にします。会社としては労働者のニーズにより、給与のデジタル払いにも対応できるよう準備をしておく必要があります。

~ 補 足 ~
給与のデジタル支払いについて、厚生労働省から「よくあるご質問の回答(労働者、使用者向け)」などが公表されています。労働者から同意を得る際の「同意書の用様式例(局長通達2の別紙)」も公表されており、周知用資料も作成後に掲載予定です。
是非、ご確認くださいませ。

 

資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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