COLUMN コラム
【第2回】犯罪事実確認の実務──採用時・在職者への対応スケジュールを押さえる
こんにちは、社会保険労務士法人味園事務所の味園裕也です!
前回は、「こども性暴力防止法(日本版DBS)(以下「法」といいます。)」の全体像と対象事業者・対象従事者についてお伝えしました。
今回は法の核心である「犯罪事実確認」の仕組みと、採用実務で特に注意が必要な「いとま特例」「施行時現職者の猶予期間」「5年ごとの更新」を解説します。
犯罪事実確認とは何か
犯罪事実確認とは、対象業務従事者(教員等・教育保育等従事者)が「特定性犯罪事実該当者」に該当するか否かを、
こども家庭庁が発行する「犯罪事実確認書」によって確認する手続きです(法第4条・第26条)。
手続きは原則としてシステム上で行われ、対象事業者がこども家庭庁に交付申請を行い、
従事者本人が直接戸籍情報等の本人特定情報を提出することで、特定性犯罪前歴の有無を確認します。
重要なのは、「確認書の申請期限」ではなく「確認書を用いた確認の完了が期限」だという点です。
申請から確認書の受領までには標準処理期間(日本国籍の場合2週間~1か月、外国籍の場合1~2か月程度)がかかります。
採用スケジュールを組む際には余裕をもって申請する必要があり、
「採用が決まったらすぐに手続きを開始すること」を習慣化することをお勧めします。
原則は「業務開始前に確認完了」
法の原則(法第4条第1項)は明快です。新たに対象業務に従事させようとする者については、
「当該業務を行わせるまでに」犯罪事実確認を完了しなければなりません。
業務開始日までに確認書の交付を受けておく必要があります。
緊急時の例外──いとま特例
急な欠員等のやむを得ない事情(規則第6条に列挙)により、業務開始前に確認を完了する「いとまがない」場合で、
直ちに業務に従事させなければ運営に著しい支障が生じるときは、例外的に業務開始後3か月以内(大規模災害等の場合は6か月以内)に確認を完了することが認められています(法第4条第2項、令第3条)。
ただし、この特例には重要な条件があります。
いとま特例を使って業務に従事させた場合、確認が完了するまでの間は「その者を特定性犯罪事実該当者とみなして必要な措置を講じなければならない」とされています。確認完了前の者をこどもと二人きりにするなど、リスクのある状況に置くことは認められません。
「特例があるから多少遅れても大丈夫」という認識は危険ですので、くれぐれもご注意ください。
在籍職員への対応──施行時現職者の猶予期間
施行日(令和8年12月25日)時点ですでに対象業務に従事している職員(施行時現職者)については、施行日から起算して3年以内、
すなわち令和11年12月24日までに犯罪事実確認を完了すればよいとされています(法第4条第3項、令第4条)。
ただし、対象職員が多い事業者にとって「3年間で一斉に確認」は事務が集中して現実的ではありません。
そのため、国(こども家庭庁)や教育委員会の主導により、例えば、私立学校や児童福祉施設等については、
都道府県ごとに申請対象月(27区分等)が割り当てられ、指定された時期に申請を分散して行う仕組みとなっています。
「令和11年12月24日までにまとめてやればいい」と後回しにするのではなく、自社が指定された申請時期を把握し、
そこに合わせて職員への案内等を進める必要があります。
なお、民間認定事業者(民間教育保育等事業者で認定を受けた事業者)については、認定時点ですでに従事している者(認定時現職者)への確認期限が「認定等の日から起算して1年以内」と、学校設置者等の3年よりも短く設定されています(法第26条第3項、令第6条)。認定申請と同時に確認スケジュールの準備を進めることが肝要です。
5年ごとの更新管理
一度確認を完了した後も、確認日の翌日から起算して5年を経過する年度の末日を超えて同じ業務に従事させる場合は、
再度確認が必要となります(法第4条第4項・第26条第6項)。
「一度確認すれば終わり」ではなく、5年ごとの更新管理が必要です。
採用管理システムや人事台帳に「確認日」と「次回確認期限」を記録する項目を設け、
更新漏れを防ぐ仕組みを整えておくことをお勧めします。
次回予告
最終回(第3回)は、施行に向けて「今すぐやるべき社内整備」と、当事務所の対応支援サービスをご紹介します。
就業規則の整備から情報管理規程の作成まで、具体的なアクションをお伝えします。
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社会保険労務士法人 味園事務所 / 合同会社 TGLinks
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【出典・参考】
こども性暴力防止法施行ガイドライン 令和8年1月 こども家庭庁
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