COLUMN コラム
令和8年度の最低賃金引き上げに関する目安が決定!その背景は?
□□はじめに
令和8年7月28日㈫の中央最低賃金審議会において、令和8年度地域別最低賃金額改定の目安が取りまとめられました。
今年度の引き上げ目安額は、新型コロナウイルスの影響を受けた令和2年度の改定以降、初めて前年度の上げ幅を下回りました。
今回はその背景についてご紹介します。
□今年度の引き上げ額の目安は?
各都道府県の引き上げ額のおおよその基準は、Aランク(東京都・千葉県を含む6都府県)が54円、Bランク(福岡県・栃木県を含む28道府県)・Cランク(秋田県・沖縄県を含む13県)が56円となりました。目安どおりに引き上げられた場合、全国加重平均は1,121円から1,176円になります。
□引き上げ額が前年度を下回った背景とは?
中東情勢などの影響で物価上昇が激化の一途をたどる現在、なぜ引き上げ額が前年度を下回ったのでしょうか?
その要因として以下の3点が考えられます。
- 春闘(春季生活闘争)での大幅な賃上げ
春闘における賃金上昇率は、全体で3年連続5%・中小企業では3年連続4%を上回りました。34年ぶりの高水準となった昨年度の賃上げ率、またそれと並ぶ賃上げが3年連続で続いている点を鑑みて決定されたと考えられます。
- 価格転嫁が追い付いていない企業の現状
春闘や最低賃金の引き上げ、原材料費の高騰などによって必要な労務費を捻出するための価格転嫁が適切に行われていない企業が存在しています。そのような現状において、春闘で大幅な賃上げがされ、最低賃金も前年度よりも大幅に上がると、企業の倒産につながる可能性があります。 - 骨太の方針での目標達成時期の変更
最低賃金については、“2020年代”に全国平均1,500円という目標が掲げられていました。この目標の達成には、2029年度までに毎年89円ほどの引き上げが必要でした。しかし、今年度の骨太の方針にて、”遅くとも2030年代前半できる限り早期”に全国平均1,500円達成を目指すと示されました。そのため、目標達成に猶予ができ、急ピッチな引き上げのペースを緩めることができたといえます。
□今後のポイント
今後は、地方最低賃金審議会にて引き上げ額の目安を基に各都道府県別に引き上げ額が決定され、10月以降から新しい最低賃金が発効されます。注目する点は以下の2つです。
- 各都道府県の実態に沿った賃上げが行われているか。
近隣県への人材の流出を防ぐため、大幅な賃上げ額が提示される可能性があります。
各企業は、決められた最低賃金を基準に自社にあった賃上げ額の設定をすることが重要です。 - 発効日(最低賃金改定日)のばらつきはどうなるか
大幅な賃上げ額による企業の混乱を避けるため、最低賃金改定までに時間がかかる可能性があります。実際に昨年度は最初の発効日(10月1日)から最後の発効日(翌3月31日)まで半年ほどのばらつきがみられました。発効日の差は収入の差にもつながります。そのため、どのくらい金額があがるかだけではなく、いつから反映されるのかにも注目が必要です。
□□おわりに
最低賃金の改定まで最短で後2か月となりました。改定に伴い、就業規則や賃金規定の改定が必要な場合もございます。弊所ではそれら規程の改定も承っております。また、実務上何か不安な点などございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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【出典・参考】
・厚生労働省『令和7年度 地域別最低賃金 全国一覧』、2025年10月1日、https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001571192.pdf
・厚生労働省『「経済財政運営と改革の基本方針2026(案)」等について』、2026年7月14日、https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001722515.pdf
・厚生労働省『令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について』、2026年7月28日、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74920.html
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