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パワーハラスメント防止指針の改正案について

令和7年11月17日、労働政策審議会 雇用環境・均等分科会において、「パワーハラスメント防止指針」の改正案が示されました。
今回の改正では、いわゆる「自爆営業」や「カミングアウトの強要・禁止」等の行為が、一定の要件を満たす場合にはパワーハラスメントに該当することを明記する内容が盛り込まれています。

 

パワーハラスメント防止指針(改正案)

<主な改正ポイント>

【自爆営業】
事業主が労働者に対し、本人の自由意思に反して自社商品・サービスの購入を強要する行為は、以下のパワハラの3要件を満たす場合、パワハラに該当する旨が明記されました。

  • 優越的な関係を背景とした言動であること
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  • 労働者の就業環境が害されるものであること

 

【カミングアウトの強要・禁止】
従前より、労働者の性的指向・ジェンダーアイデンティティ(※)に関する情報を、本人の同意なく他者に暴露する行為は、精神的攻撃や個人情報の侵害としてパワーハラスメントに該当し得るとされていました。

今般の改正案では、これに加えて「開示の強要」や「開示の禁止」といった行為も、同様にパワーハラスメントに該当し得ることが明記され、保護の範囲がより明確化されました。

なお、上記を踏まえ相談者・行為者のプライバシー保護の必要性を強調し、ジェンダーアイデンティティや病歴、不妊治療等の機微な個人情報も保護対象とする必要があります。

※現行の指針では、「性自認」との記載ですが、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する 国民の理解の増進に関する法律」の成立に伴い、「ジェンダーアイデンティティ」に改められています。

<参考リンク>

・パワーハラスメント防止指針の改正案(資料5)
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001595724.pdf

・パワーハラスメント防止指針(原文)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf

 

<さいごに>

今回のパワーハラスメント防止指針の改正は、現時点では「改正案」として提示されており、正式な施行日は未定です。

しかしながら、改正案の内容には、「自爆営業」や「カミングアウトの強要・禁止」といった、これまで判断が難しかった行為についてもパワーハラスメントとして明確に位置づける方針が盛り込まれており、企業においては今後の正式な施行を見据えた対応方針の見直しや相談体制の強化が求められます。

ハラスメント防止は、単なる法令遵守にとどまらず、職場環境の信頼性や従業員の安心感に直結する重要な取り組みです。
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