COLUMN コラム
東京の労働行政Profile2023
今年も恒例の東京労働局労働基準部、雇用環境・均等部と、東京都社会保険労務士会との意見交換会に参加してまいりました。「東京の労働行政Profile2023」(以下URL参照)にて掲げる令和5年度の東京労働局行政運営方針は「一人ひとりが光輝く働き方をめざす TOKYOへ」だそうです。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/001444815.pdf
■■■令和5年度の重点施策
広報を担当する企画課いわく、今年のProfileは、例年のように部署ごとの記載ではなく重点施策ごとの記載として見やすく改めたとのことでした。今年度の重点施策は、①女性活躍とワーク・ライフ・バランスの推進、②労働移動の円滑化とキャリアアップの促進、③安全で健康に働くことができるディーセント・ワークの実現、④労働保険制度の適正な運営の4つです。以下にその概要(抜粋)を記していきます。
□□女性活躍とワーク・ライフ・バランスの推進
少子化問題や子育て支援が喫緊の課題である中で、「女性活躍の推進」「仕事と家庭の両立」「柔軟な働き方の促進」などの施策をワンパッケージで推進し、男女ともに働きやすい雇用環境の整備を進めていくそうです。
■女性活躍の推進
令和4年7月8日施行の改正女性活躍推進法により、常時雇用する労働者数301人以上の事業主に、女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績のうち男女の賃金の差異に係る情報を公表する義務が課せられました。その履行確保を着実に図るというものです。それに関して、賃金の差異の要因分析や雇用管理改善の重要性について啓発を進め、企業への個別支援、「女性の活躍推進企業データーベース(以下URL参照)」の利用促進を図るとのことです。このデーターベースでは、企業公表データのダウンロードが可能であり、また女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の好事例が掲載されていますので、有効活用してみましょう。
https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/
■男性が育児休業を取得しやすい環境の整備
労働者数 1,001人以上の企業の事業主は、男性の育児休業等取得状況の公表について令和5年4月1日より義務化されています。その履行確保を着実に図るということです。「産後パパ育休」(出生時育児休業)を含め、育児・介護休業法に基づく両立支援制度について労働者が円滑に利用できるようにすることと、介護離職を予防するため介護休業制度の周知徹底を図るとのことです。特に育児・介護休業に係る就業規則等の改定整備を促進し、男性も育児や介護での長期休暇を取得できるような環境整備を推進していくとの補足説明がありました。職場環境整備に関しては不妊治療も受けやすくするために、休暇制度の導入を事業主に働きかけるそうです。
■雇用形態に関わらない公正な待遇の確保等
企業が人材を確保しその定着を図るためには、働き方改革に加え賃金の引き上げが重要であると行政は認識しています。パートタイマー、有期契約労働者にかかる同一労働同一賃金について、「多様な働き方の実現応援サイト(以下URL参照)」等を通じて、事業主等に対して周知等を図るとのことです。
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/
また有期契約労働者の無期転換について、引き続き、モデル就業規則を活用して企業に無期転換ルールを定めてもらう等し、その円滑な運用に向けて事業主に周知を行っていくとのことです。また、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的での雇止め等を企業が行ったと把握した場合は、啓発指導を行っていくとのことです。
□□安全で健康に働くことができるディーセント・ワークの実現
ディーセント・ワークとは、直訳すると「働きがいのある人間らしい仕事」ですが、Profileでは「誰もが安心して働くことができる良好な労働環境」と定義づけています。その実現のため、次のような施策に取り組んでいくとのことです。
■労働災害防止対策の推進
東京労働局管内における令和4年の死亡災害は55件でした。最多は建設業の26件、第三次産業の20件と続きます。また同年の休業4日以上の死傷災害は10,802件と対前年比760件増となっており、こちらは第三次産業が7,201件と断トツでした。各々2027(令和9)年までに5%の減少を目指しています。
死亡災害のうち熱中症によるものが5件あり、暑くなる前の早い時期から 熱中症予防対策の計画的な実施について周知を図るとのことです。また、重点取組期間の7月に向けて、建設業・警備業・陸上貨物運送事業その他の関係事業者団体にも協力を求め、熱中症予防対策の徹底を図っていくそうです。
■労働条件の確保・支援
本年4月から中小企業にも適用された月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率の引上げについても、引き続き周知徹底を図るそうです。また、東京管内全労働基準監督署に設置している労働時間相談支援班により、時間外労働の上限規制への対応を含む労働時間の縮減等に取り組む中小企業・小規模事業者に対し、相談対応のほか、説明会の開催や個別訪問による支援など、事業者等に寄り添った丁寧な支援を実施するとのことです。
更に、令和6年4月から時間外労働の上限規制が適用される医師、自動車運転者、建設業について、働き方改革が円滑に推進されるよう積極的に支援するとして、医師については、東京都医療勤務環境改善支援センターなどと連携し、医療機関への適切な支援を行い、自動車運送業・建設業については、荷主等や民間工事発注者等も含めた業界全体に対する総合対策を実施し、人材確保の支援、長時間労働の抑制に向けた支援を行うとのことでした。
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